このことを初めて聞く人は最初は難しいと感じるかもしれませんが、決してそういったことはないので安心して読んでください。
目次
確証バイアスとは?
人生の中で心理学を勉強したことがある人なら、確証バイアスという用語を聞いたことがあるかもしれません。 そうでなければそもそも確証とバイアス自体何のことやら、という感じではないでしょうか。 まずはバイアスについて見ていきましょう。 バイアスとはいわゆる偏り、傾向のことを言います。例えば「あなたがそういうことを言うのはバイアスにかかっているからだ」という風に使用します。 この場合、ある偏った見方でしかものを見られていないと捉えられるわけです。では確証バイアスとはどういうものかというと、自分に都合の良い情報ばかりを集める傾向のことを言います。 違う言い方をすれば、自分がこれは正しいと思うことばかりを集める傾向とも言えるでしょう。つまり、いずれの場合でも自分が考えるものとは反対のものはすべて無視する、スルーしてしまうことでもあるのです。
ただ、近年では自分に都合の良い情報ばかりではなく、逆に都合の悪い情報ばかりを集めることも確証バイアスと呼ばれています。
確証バイアスと占い
この確証バイアスは心理学で使われる言葉ではありますが、占いでも用いられています。占いも人によっては心理学のようなものだと感じることもあるでしょう。
占いで確証バイアスを感じられる瞬間ですが、占い師に色々と言われてそれが的中したという時です。
的中すればやはり嬉しいもので、その占い師のことがかなり印象に残ってまた相談したいとなることもあります。
しかし、もし的中しなかった場合には印象に残らず、次第に記憶から消えていってしまうのです。
すると、鑑定の結果として的中もあればそうでないものもあったにもかかわらず、的中したことだけが頭の中に残り本当は外れている部分もあるのにそれは消え去っていき、鑑定はすべて的中したと考えるようになるわけです。
実はこの確証バイアスを悪用して、お金を騙し取ろうとしている占い師は多いと言われています。
これを知らないと本当にすべて的中したと思い込んでしまいますので、もしこれから占い師に相談をしようかと思っている人は、この確証バイアスについてある程度の知識を仕入れておいたほうが良いかもしれません。
確証バイアスの例
人々が生活する中で、実は確証バイアスの例は多数に存在しています。普段意識していなくてもそれがバイアスにかかっていることがありますので、注意してみてはいかがでしょうか。買いたい物を承諾してほしいとき
確証バイアスの例ですが、例えばあなたの家庭で何か欲しいものがあったら夫や妻にそれを伝えなければならないとします。 仮にですが、新しい美容器具が欲しいとなると相手に対してその美容器具の良いところ、例えば「他の器具よりも安い、他よりも安心して使える、有名なメーカーだから心配はいらない」などの情報を伝えてしまいます。 これが確証バイアスで、決してその欲しい商品の悪い情報は伝えないのです。本来は悪い情報があるにもかかわらずそれを隠して、あるいは無視して伝えるというのが確証バイアスの例となります。恋人との喧嘩を友達に相談するとき
例えば恋人と喧嘩をしたとしましょう。友達に喧嘩をしたことを相談する場合、複数人に相談したとするとどうしても自分に都合の良いアドバイスばかりを受け入れてそうでない、自分に責任があるというような言い方をする人のアドバイスには耳を貸さないというのも確証バイアスの例と言えます。 最後にもう一つ紹介しましょう。タバコのニオイが嫌いな人はタバコがいかに健康に良くないか、副流煙が周囲に対してどういった影響を与えるかなど悪い面を取り入れるものです。 ですが、反対にタバコを頻繁に吸う人はそのような周囲への影響を意に介さず、タバコはストレス解消にピッタリだ、というようにタバコの良い面ばかりを考えてしまいます。このように良いことばかりではなく悪いことであっても自分に都合が良ければ周囲への影響を無視して考えるのも、確証バイアスの例なのです。
確証バイアスが強い人の特徴
確証バイアスは無意識のうちに働くものではありますが、実際にはその特徴が強い人には確かな傾向があります。人の上に立つ立場の人
例えば他の誰かを説得しなければならないような人です。これは会社で言えば上司が当てはまるでしょうが、組織全体を俯瞰する必要がある一方で消費者のことまで考えなければなりません。 しかし両方を意識しているとうまく回らないことがあるため、どうしても会社か消費者かどちらかを優先させるバイアスにかかってしまうのです。思い込みが強い人
または思い込みが強い人もこれにかかりやすいです。普段から他人以上に思い込んでしまうという場合、やはり何かを考える際には都合の良い情報だけを仕入れてしまいがちになります。思い込むことで他の有益な情報には目がいかず、これしかないと思えば本当に周囲の意見も聞かなくなることがあります。
自分が確証バイアスが強いのかどうかを判断するのは簡単ではありませんが、ここで紹介したような特徴がありますので自分を見つめてみることも大切です。ちなみに、これが強いからといって良い悪いは一切関係ありません。
確証バイアスと正常性バイアスの違い
これまで確証バイアスについて見てきましたが、その他のバイアスとして正常性バイアスというものがあります。正常性バイアスとは?
正常性バイアスというのは、仮に予想だにしていない状況になった時に、「今まで一度もそのようなことはなかったのだから、今もあり得ない」という先入観を働かせることで今起きている状況は予測しないことだったとしても、正常なものなのだと認識してしまうことを言います。正常性バイアスが働いてしまった事故の事例
正常性バイアスを研究する上で重要な事例が存在します。それは2003年に韓国で起きた乗客が放火したことによる車両火災です。 車両内はかなりの煙が充満していたにもかかわらず、多くの乗客が逃げずに待機していたことから200名近くの死者が出てしまいました。 これは車両火災が普段起こらないことだから、今起きているのもあり得ないことだ、という正常性バイアスが働いてしまったために起きた事例と言えます。このように、正常性バイアスも確証バイアスの一種ではありますが、正常性バイアスは異常なものをあくまでも正常だと捉えてしまうという特徴があるのです。
確証バイアスを防ぐには?対策・回避方法
では、確証バイアスを防ぐ方法は存在するのでしょうか。実はいくつか存在していますので、ここで紹介します。反論できるデータを集める
最初に紹介するのは、反論できるデータをきちんと集めて整理することです。 確証バイアスにかかれば都合の良い情報しか仕入なくなるため、他の情報は無視されてしまいます。 しかしこの他の情報がとても大切で、バイアスによって信じている情報は本当に真実なのかを疑う必要があるのです。
普段から一つのものの見方だけをするのではなく、そう思ったとしてもなぜそう思ったのか、他に有益なデータや情報はないのかなど意識づけることが大切です。
他の人の意見を参考にする
自分だけではなく他の誰かの意見を参考にすることで確証バイアスを防ぐことができます。 何度も述べていますが、自分に都合の良い情報ばかりに目を向ける確証バイアスでは他の意見は無いものに等しいと言えます。 しかしこの時に、自分以外の他の第三者がしっかりとした意見やアドバイスをすることで、自分では気がつかなかったことに気づかされることがあるのです。人に頼るのは嫌だ、という人にとっては厳しい対処法かもしれませんが、確証バイアスによって正常な判断ができなくなるようであれば、このような第三者の意見を参考にした方が良いでしょう。
確証バイアスは悪いことばかりではない
確証バイアスと聞くと悪いことのように考える人もいるかもしれませんが、それは正しくその言葉を理解しているとは言えません。 ここでは確証バイアスが良い方向に働くことについて見ていきましょう。 代表的なものとしては、マーケティングが挙げられるでしょう。マーケティングでは開発した商品を顧客に購入してもらうために宣伝をしてアピールしなければなりません。 しかしその時にその商品の悪いところばかりアピールしていては、まず誰も買わないでしょう。ところが良いことばかりを伝えて顧客がその商品は良いものなのだ、という印象を持つことで悪い部分が必然的に目立たなくなります。
実際にマーケティングで戦略の一つとして確証バイアスを取り入れている企業も多く、我々は知らず知らずのうちに企業の確証バイアス戦略に陥っているのです。 このように確証バイアスは何も悪いことばかりではなく、うまく付き合っていけば人生を豊かなものにすることができます。 悪い情報ばかりを集めて生きていくのでは疲れてしまいますし、本当に自分はダメな人間だと思ってうまくいくものもうまくいきません。仕事で何かのプロジェクトを任された場合でも、マイナス要因ではなくプラス要因を考えることで前向きに取り組むことができるでしょう。
確証バイアスについてのまとめ
この記事では、心理学で使われる確証バイアスについて見てきました。 占いでも頻繁に用いられる用語の一つですが、確証バイアスの存在によって的中した、しなかったという判断は正しくできないこともあります。 しかしここで大切なのは的中するかしないかではなく、占い師のアドバイスをどのように役立てていくかなのです。 むしろ的中のことばかり考えていると確証バイアスにがんじがらめにされてしまいます。確証バイアスを意識したうえで占いをしてもらい、人生を明るくできるよう行動することが理想ですね。