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建仁寺 曇りのない「禅」の心を伝える、京の禅寺

寺院の外観画像

「本来の自分自身を見つめる」ことを目的とする禅の教え。「禅」は仏教の宗派の一つであり、現在禅宗と呼ばれているのは「臨済宗」「曹洞宗」「黄檗宗」が主で、己の精神を統一し自分が存在することの真理を追究するという意味のサンスクリット語を音訳した「禅那(ぜんな)」の略語であり、坐禅修行を行う禅宗を指します。

特定の神様を崇拝するのではなく、自分自身と向き合うことを目指しています。また禅は「心」の別名とも言われており、煩悩、邪心などを捨てお釈迦様の教えのように澱みのない心境を指す言葉でもあります。

約800年前に日本に伝わったこの禅宗を宗派とする建仁寺。地域の人々の拠り所として親しまれ日々多くの方が禅の教えを学ぼうと訪れています。そんな寺院が誇るべき魅力をご紹介します。

目次

建仁寺とは

寺院の外観画像②

京都祇園の花街に隣接する寺院・建仁寺。祇園という京都で最も華やかな街のすぐそばに位置していますが境内に一歩足を踏み入れればそこは異空間。祇園の煌びやかな一面を一時忘れてしまうような厳かな空間が広がっています。禅宗を宗派とし、季節を問わず多くの行事が執り行われている、活気ある寺院です。

華やぐ祇園のすぐそば、ということもあり国内の観光客の方のみならず海外からのお客様も多く来られます。山号を東山(とうざん)と称し、臨済宗の開祖・茶道の祖として名を馳せた栄西禅師(ようさいぜんじ)によって開山されました。京都最古の禅寺として地域の方々に長く親しまれ、境内には禅宗様式を取り入れた建築物が数多く立ち並んでいます。

「禅の教え」が息づいた、京都最古の禅寺

栄西禅師掛け軸の写真

建仁寺の歴史は古く、今から約800年前、1202年に建立されました。京都最古の禅寺であり建立当時の元号が建仁であったことから「建仁寺」の名が付きました。開山である栄西禅師は、日本に初めて禅の教えと喫茶の文化を広めた人物でもあり、その功績は偉大なものです。

『喫茶養生記』を記すなど茶人としての功績も見逃すことはできず、彼が中国より伝えた喫茶の文化が現在の茶道の源流となり、京都の登録無形民俗文化財にも指定されるなど日本茶道の文化にも大きな影響を与えました。また、彼は中国へ渡航する際、大工を同行させ中国の禅寺の建築様式を学ばせ日本へ伝えました。帰国後、中国で習得した建築様式で建立したのが建仁寺です。

そのため境内の建物は主に禅宗様建築で建てられその厳かな建築物が立ち並ぶ様は実に壮観で見応えのあるものです。また、 栄西禅師が茶の道を広めたことに由来し、境内の生垣はすべて茶の木となっています。細部までこだわり「禅」の風を感じられる寺院は、京都市内でも非常に貴重な存在と言えます。

地域住民の心にも根付く、禅の心

座禅体験の画像

禅は「心の宗教」とも言われているほど、人間の心と密接な関係性を持っています。煩悩や邪念を捨て澄み切った心で過ごす、必要なものだけを持ち最低限の生活を営むこと、それこそが最も贅沢なことである。

この教えを忘れずに暮らす日々にこそ本当に必要なものを見いだせると考えています。この教えは地域の方々にとっても大きな心の拠り所となり、今なお地域にとってなくてはならない寺院として存在しています。地元の方々は建仁寺を親しみを込めて「けんねんさん」と呼び、寺院で開催される坐禅体験にも多くの方が参加されています。

目まぐるしく時が過ぎる、利便と情報に溢れた現代の生活をひと時忘れ、心落ち着かせる時間を過ごす、そんな体験ができるのが建仁寺の魅力の一つです。

四頭茶会の写真

また開山である栄西禅師の誕生日である4月20日には、お祝いの法会で四頭茶会(よつがしらちゃかい)という茶会を開催しています。これは中国を起源とする茶礼(されい)で、栄西禅師が鎌倉時代に禅と共に伝えたとされています。

その後室町・桃山時代以降に流行し、延暦寺の学僧であった玄慧法印(げんえほういん)が記した『喫茶往来』の茶法に則り行われています。日本最古の茶法とも言われており、茶道を学ぶ方は必ず耳にする茶法です。

栄西禅師の名に引き寄せられた、伝説の釣鐘

釣鐘の画像

寺院境内の中にある2つの鐘楼。大きい方の鐘楼にある釣鐘は、源氏物語に登場する嵯峨天皇の息子である源融(みなもとの とおる)が使用していた物が鴨川に放置されていたのを引き上げてお寺の鐘にしたと言われています。

ですが引き上げ当時、人々から重すぎて引き上げるのが困難だという声が上がり、栄西禅師は「えいさい、ようさい」と自分の名前を呼びながら引き上げるよう伝えました。すると不思議な事に鐘は引き上げられ、無事建仁寺に収められたと言われています。

今後の展望について

寺院庭の画像

近年、SNSなどの普及により写真・文章などで建仁寺の存在を知っていただける機会が増えています。ですが、お寺に流れる空気感やそこで感じられる温もり、そして生活の糧となるような知恵が入った「禅の教え」というものは実際に寺院を訪れていただかなければお伝えできません。

これからも、一人でも多くの方々に寺院に興味を持って訪れていただけるような取り組みをしていきたいと考えています。

まとめ

紅葉の寺院写真

京都の中心地という、観光で賑わう場所に位置しながら穏やかな時を感じることができる建仁寺。日本に禅を伝えた栄西禅師が開山し、非常に長い歴史と由緒を誇る寺院です。

数多くの有名な神社仏閣が存在する京都の中でも最古の禅寺として、地域の人々とその平和を見守り続けてきました。この先も参拝される多くの方を温かく迎え入れ、人間の暮らしにとって大切な「禅の教え」を伝え続けていくでしょう。

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この記事を書いた人

ラボ編集部のアバター ラボ編集部 編集者・取材ライター

歴史と文化遺産に情熱を注ぐ29歳の編集者、山本さくらです。子どもが1人いる母として、家族との時間を大切にしながらも、文化遺産ラボの立ち上げメンバーとして、編集やインタビューを担当しています。旅行が大好きで、訪れる先では必ずその地域の文化遺産を訪問し、歴史の奥深さを体感しています。
文化遺産ラボを通じて、歴史や文化遺産の魅力をもっと多くの方に届けたいと日々奮闘中。歴史好きの方も、まだ触れていない方も、ぜひ一緒にこの旅を楽しみましょう!

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