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尊永寺 開山から1300 年以上、徳川も認めた格式の寺院

寺院外観①

静岡県に開かれた法多山尊永寺。1300 年以上の歴史を誇り、そのルーツはかの有名な行基上人にあるとされています。他に類を見ない広々とした境内を誇り、「厄除観音」として親しまれています。

古くは豊臣秀吉、徳川家とも関わりがあり現在でもその名残を感じることができます。移ろう時代に調和するように、歴史を感じさせなが らも現代の風景に溶け込む、美しく格式のある寺院です。

目次

法多山尊永寺とは

静岡県袋井市に位置する、高野山真言宗の別格本山として名高い法多山尊永寺。厄除け・開運のご利益があるとされ、地域の人々には「厄除観音」として広く知られています。

日々多くの参拝者が訪れ、境内の四季折々の美しい景観を楽しまれています。また、季節ごとのイベントも多数行われており、風鈴まつりや万灯祭などのイベ ント時には多くの方が訪れています。

将軍家にも認められた、厄除団子

厄除団子の写真

尊永寺は、神亀2 年(725 年)に聖武天皇の勅命を受けた行基上人が開山しました。行基上人が自ら彫り上げた正観世音菩薩を本尊として安置したのが始まりで、中世以降は今川家、豊臣秀吉、徳川家などの有力武将の信仰を集め、特に徳川家康から
は五万石の格式を与えられるほどの寺院となりました。

現在では、静岡県中部から愛知県の東部で知られている尊永寺。地域の人々が厄除け、開運の祈願に訪れ初詣や季節行事にも多くの方が参拝されます。さらに「厄除団子」は地元の名物として知られ、境内のだんご茶屋で楽しむことができます。この厄除団子はかつて将軍家から「くし団子」と命名され、現代にいたるまで150 年以上の⾧きにわたり親しまれています。

迎えるのは、その広大さ

紅葉の写真

注目すべきはその境内の広大さ。約10 万坪の敷地を誇り、山門から本堂までの距離はなんと歩いて約15 分!その壮観さは周辺の景色とは一線を画す風景。本堂やおみくじはもちろん広場や休憩所、ホタルの鑑賞公園なども併設されている、非常に見応えのある境内となっています。

特に、訪れる人々が最初に目にする仁王門は、江戸時代に再建されたもので現在では国指定重要文化財となっています。その出で立ちは迫力満点。見る人を圧倒する力強さがあります。他にも黒門や⾧い参道、階段などがあり、本堂や境内の神社などの建築物は⾧い歴史を感じさせる重厚な雰囲気。周辺は緑が多く、自然豊かな環境と 歴史的建築物が融合する特別な空間です。

寺院でのイベント

万灯祭の写真

一年を通して様々なイベントが行われている尊永寺ですが、夏に開催される「万灯祭」は特に有名。7 月10 日は、法多山でもっともご利益のある日と伝えられており、その日一日お参りすることで4 万6000 日分のご利益があると言われています。イベント当日は何千基もの灯篭が奉納され、その灯篭が並ぶ本堂前の光景はとても幻想的で夏の夜空を彩っています。

5 月下旬~8 月末には風鈴まつりを開催。回廊や翼殿のほか境内のさまざまな場所に風鈴が飾られ、その涼しげな音が参拝者を癒しています。期間中は木の短冊に願い事を託し、風鈴に掛ける「願掛け風鈴」も奉納することができます。6 月中旬~下旬にはアジサイの花が見頃となり、梅雨の季節ならではの美しいアジサイを鑑賞することができます。

寺院にまつわる伝説

お地蔵さんの写真

尊永寺は、行基上人が大悲観音応(だいひかんのんおうりん)の聖地を探し求め、辿りついたのがこの地であった、そしてこの地に本尊正観世音菩薩を安置したと言われています。

法多山の本堂へ続く石段の途中に小さなお堂があります。そこは「地蔵堂」となっていますが、実はこの地蔵堂、いつからあるのか誰が何をきっかけとしてそこに建てたのか詳しいことが何も分かっていないんです。古くからこの地に住む方も、現在の住職も詳しいことは知らないそうです。

不明なのは、その存在だけではなく中のお地蔵さんの配置についても疑問が残ります。通常、お地蔵さんはお堂内に配置される時には、一体ならば正面に、二体ならば左右に並べます。これは参拝者に正対して拝まれるように、との配置ですが、このお地蔵さんは不思議なことに「前後」に並んでいます。

これでは、参拝する方は正面のお地蔵さんに正対することはできますが、後ろにいるお地蔵さんには正対することができません。なぜ、二体あるのにわざわざこのような配置になっているのか、それは誰にも分かりません。当時描かれた寺院内の絵画では、旧本堂があった1857 年、この位置には参拝者が手を清める水屋がありました。

そしてその水屋のやや下に「地蔵堂」と書かれた小さな祠が描かれています。1300 年の⾧い歴史の中で受け継がれてきた、誰にも詳細の分からない不思議な建物。すべてが謎に包まれたお地蔵さんですが、今日も訪れる方をそのほほ笑みで優しく見守っています。

今後の展望について

令和7 年(2025 年)に開創1300 年大法会を予定しており、これに向けて様々な準備が進められています。2024 年には愛染堂の建立も行われました。現住職の考える「人が集う大切さ」に根差したお寺として様々な取り組みを行なっております。

さらに歴史と伝統が息づく場所としても、地元の人々にとっても重要な存在です。訪れる際には、歴史的な建築物や美しい自然を楽しみながら、厄除けや開運のご利益 を願っていただける場所です。

アクセス

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この記事を書いた人

ラボ編集部のアバター ラボ編集部 編集者・取材ライター

歴史と文化遺産に情熱を注ぐ29歳の編集者、山本さくらです。子どもが1人いる母として、家族との時間を大切にしながらも、文化遺産ラボの立ち上げメンバーとして、編集やインタビューを担当しています。旅行が大好きで、訪れる先では必ずその地域の文化遺産を訪問し、歴史の奥深さを体感しています。
文化遺産ラボを通じて、歴史や文化遺産の魅力をもっと多くの方に届けたいと日々奮闘中。歴史好きの方も、まだ触れていない方も、ぜひ一緒にこの旅を楽しみましょう!

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